車窓から2

はじめは陶芸を売っているのかと思ったが、そうでもないらしい。
膳。
幾度か看板を注視するうちに、左上に小さく膳と書かれていることに気がついた。
美味しいといいな、そう思った。
今日も看板を目にし、電車は止まった。私は再び顔を伏せる。
ここで降りたい気持ちはだんだん強くなる一方だが、どうも体は動かないようだ。
不味かったらどうしよう、そう思った。
いつか降りるのかもしれないけれど今日はいいや、そう思った。
はえいやと目を閉じる。後20分、一眠りするには十分だ。