読書

ユージニア 著:恩田陸

物語は無限の可能性を秘めている。が、しかし、作者が足枷となり、無限から有限へと固定してしまう。 ただ、裏をかえせば、作者の力量次第で限りなく有限を無限に近づけることが出来るのではなかろうか。 私はこの作品がそういう物語であると思う。 先入観な…

夜のピクニック 恩田陸(著)

読了後、登場人物が羨ましくなり、私もどこかを歩きたくなった。 富士山なんかはどうだろう? そう自分に問いかけてもみた。 水戸一高の歩く会が元となり、この物語は語られている。 テレビで高校生が歩く姿を見たことのある方もいると思う。その歩く会を題…

蒲公英草紙―常野物語 恩田陸(著)

じんわりほっこり。 期待に胸を膨らませてページをめくった一冊。 常野物語では前作、光の帝国に続く二冊目。 個人的に常野一族という設定に大きく惹かれる。 自分の中に永久を住まわせる一族……内的外的の違いはあれど、妙に不死のものの物語を思い浮かべて…

波に座る男たち 梶尾真治(著)

本書はノスタルジーと任侠が芳醇に香る良作となっております。 殆ど食べたことの無い鯨肉にノスタルジーを感じ、 仁侠映画でしか接したことの無い善玉ヤクザに思いを馳せる。 まさに現実に接しているようで隔離している本の中を 存分に楽しめる作品になって…

神狩り 2 リッパー 山田正紀(著)

物語の質には満足だが、構成に不満あり。 前作に比べ、神という存在への哲学的なアプローチは進んでいると思う。 ただ反面、物語としての神へのアプローチは薄かった。 ・古代文字へのさらなる言及は? ・火星の文字が警告だという前作のヒキの活用は? ・登…